2012年7月17日火曜日

世界連邦アジア会議の推進(「世界国家」から)

日本の敗戦によって、アジアに於ける八つの国が独立した。だが軍備的にいって、みな丸裸である。経済的に考えて、みな相当、苦しんでいる。

 ヨーロッパに、連邦議会が既に成立している如く、このアジアの丸裸の国々を連絡して、共栄共存の連邦議会を作ることは、世界平和のためにも、是非推進せらるべきものである。

 日本が軍備を持っていれば、アジアの諸国は、日本に付いて来ないだろう。日本が丸裸であるから、アジアの他の丸裸の国々も、日本を疑わないだろう。

 世界連邦の理想は高い、然しアジアが安定すれば、世界の安定は、更に容易になる。

 来る十一月三日から、広島で開催されんとするアジア会議は、民間外交の仕事としては、破天荒的な出来事である。我々はそれを成功させたい。然し、たとえそれが十全に成功しなくとも、世界に与うる影響は絶大であることを考える時に、どんな小さい集会でもよい。我々は広島に於けるアジア会議を推進する必要がある。

 もし、アジア会議の結論として、ルクセンブルグ国・ストラスブルグ市に中心を置くヨーロッパ議会の如きものが、アジアに於て結成される緒口が見付けられるならば、アジアの幸福は大である。そしてアジア連邦が成立するなら、日本は、敗けたことによって、百六十万の戦死者の犠牲を新しい意味に於て、民主的に生かすことになる。  (1952年7月号)

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